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食物過敏と多発性硬化症

2009年9月10日木曜日
多発性硬化症(以下MSと表記)の診断の確定については、特別な信頼性の高い検査法あるいは検査というものは存在しません。 器質的原因が容易に見つからない場合、初期症状である頑固な疲労、麻痺、脱力感、視覚障害等の症状は、単に心因性のものとして軽く扱われる可能性があります。

食物とMSの間の関係性は特に興味深いものです。 腸の免疫機構は身体の免疫機構全体のおよそ3分の2を構成しており、遭遇する病原体には適切に反応し、我々が摂取する食物にはほぼ反応しない(この現象を経口寛容と言います)という、絶妙な役割を持っています。 そして、寛容が欠如することが、アレルギーや自己免疫状態を含むたくさんの通常疾患の根本的要因である可能性があります。1

面白い研究では(Reichelt et al.,2)、 ELISA法を使用し、多発性硬化症の発症中の36人の患者を対象に、一般的な食物アレルゲンに対する血清中のIgAおよびIgG抗体を測定、中間年齢は44歳、これを中間年齢38歳の正常対象の検査結果と比較したものがあります。 同時に行った正常対象と比較し、MS患者の検査結果では、グリアジン、グルテン、カゼインに対し、統計学的に極めて高値のIgAおよびIgGが見られました。 MS患者のうち、6名は、グリアジンとグルテンに対し、セリアック病のカットオフ値を上回るIgA値を示しましたが、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体に対しては陰性(セリアック病の可能性小)でした。 これらの所見に反して、より以前の研究(Hunter et al.,3) では、あるMS患者の研究グループにおけるグルテンやグリアジンへの抗体上昇は見られませんでした。

グリアジンとグルテンに対するIgA抗体は、グルテン性小脳性運動失調において証明されており、また、ヒトの脳障壁脈管系への親和力を有することが示されています。4, 5

食物特異的抗体とMSの関連性に関する解釈は、研究母集団内における変数と同様、方法論的な相違によって複雑なものになり得ます。 研究は、病気との関連性を現す一方で、検査測定値も現すかもしれませんが、状態 - 一致あるいは因果関係における関連性の本質を決定することは多くの場合困難でしょう。 疾病に対する食物応答の構成要素を明らかにするためには、臨床的慎重さが必要です。

食物免疫複合体が、統計学的に、そして際立って低度の全体的炎症と関連していることは報告されています。 6 それは敏感な人の体内において強度の胃腸の透過性やこれら食物抗原に対する誤った処置によって現象の連鎖が起こり、組織へのこれら免疫複合体の付着をもたらし、炎症を伴うという仮説が多くの人によって立てられています。7

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1 Plummer, N. The gastrointestinal tract, an overview. Pharmax LLC.

2 Reichelt, K-L., et al. (2004). IgA antibodies against gliadin and gluten in multiple sclerosis. Acta Neurol Scand, 110:239-241.

3 Hunter, A.L., et al. (1984). Gluten antibodies in patients with multiple sclerosis. Hum Nutr Appl Nutr, 38A:142-143.

4 Hadjivassiliou, M., et al. (2002). The humoral response in the pathogenesis of gluten ataxia. Neurology, 58:1221-1226.

5 Pratesi, R., et al. (1998). Serum IgA antibodies from patients with celiac disease react strongly with human brain blood-vessel structures. Scand J Gastroenterol, 33:817-821.

6 Wilders-Trusching, M., et al. (2008). IgG antibodies against food antigens are correlated with inflammation and intima media thickness in obese juveniles. Exp Clin Endocrinol Diabetes, 116:241-245.

7 Brostoff, J., Challacombe, S.J. (Eds.). (2002). Food allergy and intolerance. London. Elsevier Science Limited.